解決事例
- 2025.08.27
- 亡くなった父親名義の建物について、相続人間で調停を行い、地主に建物を引き取ってもらう形で清算した事例
事案
本件は、被相続人であるお父様が亡くなり、相続人である長男(依頼者の兄・相手方)と長女(依頼者)との間における遺産分割が争われた事案になります(お母様は10年ほど前に既に亡くなられておりました。)。ご実家は松原市にあり、地主から土地を借りて、その上にお父様名義の建物を建てて、そこでお父様が居住しておられました。お父様は生前に自筆証書遺言を残しておられ、そこには、子である長男及び長女に預貯金等は半分ずつ残し、建物の管理は長男に任せるといった内容が記載されておりました。
長女は、長男から、預貯金等は全て建物の今後の維持管理や亡くなったお父様の法事など必要な経費に充てると言われ、長男が預貯金等を一括で管理することとなりました。また、長女は、長男から言われるがまま、建物の地代や管理費名目で一定のお金の負担を余儀なくされておりました。お父様名義の建物をそのままにしておくわけにもいかず、新たな賃借人を探したり、地主に返還するなどの対策を検討しようとし、長女において、建物を借りることに興味を持ってくれた知り合いなどを紹介しても、話の途中で長男が意を翻し、結局、話が前に進まずに、お父様が亡くなられてから5年ほどそのままとなってしまっておりました。
長女としましては、長男から強く言われるとなかなか反発ができないという関係性のもと、そうした状態が続いておりましたが、なんとかしなければならないと思い至り、ご相談に来られたのが本件です。
解決方針
自筆証書遺言には、建物の管理を長男に任せるといった記載はありましたが、誰に相続させるかについて明確な記載はありませんでした。そこで、建物を遺産として、長男が取得する代わりに代償金を長女に支払うよう求める遺産分割調停を申し立てることとしました。また、調停を申し立てるにあたり、改めてお父様名義の預貯金等がないかどうかを調査したところ、事前に長男から説明を受けていたもの以外に預貯金口座がいくつかあったことも判明しました。そこで、お父様が亡くなった時点での預貯金口座の残高を明らかにし、そこから、必要経費として長男が何をどれだけ費消したのか、証拠に基づいて説明するよう併せて求めました。
そうしたところ、長男にも代理人弁護士が就き、調停手続きの中で、「使途一覧表」が提示され、どのような用途にいくら使ったのか、残っている領収証に基づいて説明を受けました。それに対し、当方からも、必要経費として認められるもの、認められるべきでないものを選択し反論を行いました。
これらの使途にまつわる紛争と並行する形で、お父様名義の建物をどうするかについても審理が行われました。当方としては、長男が取得する代わりに長女に代償金を支払うよう求めていましたが、早期解決のために、地主に返還するという方法でも構わないと主張することにしました(長女としても、早々に地主に返還したいと考えておられるようでした。)。
地主に返還するとなれば、地主から、建物解体費名目で解決金として高額な金額を支払うよう求められる可能性もあります。そうした中、当方の主張を受け、長男側で地主に返還を打診したところ、ちょうど市役所の空き家対策課に、空き家を有効活用したいという方が相談していたようで、その方が新たに賃借することを前提に、想定していた金額よりはるかに安い解決金を支払うことで、地主が建物を引き取ることに応じてくれました。
そうして、調停手続きの中で、建物を地主に引き取ってもらうことに成功しました。また、長男が預かっていたお父様名義の預貯金等については、必要経費として認められるべきもの認められるべきでないものと双方で対立していた金額から、調停委員会が間を取るような形で提示した調停案に双方が応じることにより、調停が無事に成立しました。
当事務所コメント
建物だけが被相続人名義で、その下の土地が第三者名義となっているケースは決して珍しいことではございません。しかし、その建物を処分するには、地主の承諾が必要になる場合もございます。そうなると、相続人間だけでなく、地主も交えて協議をしていかなければならず、複雑になってしまいかねません。
本件では、被相続人がきちんと遺言書を残していたものの、建物については「長男に任せる」といった曖昧な記載となっていたことから、建物を相続人の誰が相続するかについて紛争が生じてしまったといえます。後に複雑な事態を生じさせることを回避するため、遺言書の作成にあたっては、予め弁護士にご相談いただくことが重要であるということを改めて感じました。
また、遺言書がなかったとしても、残された相続人だけで建物の処分について地主と交渉することには困難を伴うと思われます。そうした事態が生じてしまった場合にも是非とも弁護士にご相談ください。
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)