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遺言書作成の必要性

ある方(被相続人)がお亡くなりになった場合、その方が遺言書を作成していたかいなかったかによって、その後の相続手続が全く異なったものになります。

1 遺言書がない場合

被相続人が遺言書を作成せずに亡くなられた場合、遺産全体がいったん相続人全員の共有状態となります(これを遺産共有と言います)。この遺産共有状態は、あくまで一時的・暫定的なものではありますが、この状態を解消するためには、相続財産を調査したうえ、相続人全員が参加して、誰がどの遺産を取得するか決めなければなりません(これを遺産分割協議と言います)。この遺産分割協議がまとまらなければ、遺産共有状態がいつまでも続くことになってしまいます。

相続人らにしてみれば、被相続人がどこにどのような財産を持っていたか分からないことも多く、また、本人が身内の知らないところで親族名義の預金口座や保険契約をしているケースなど、相続財産の調査が難航を極めます。

また、遺産分割協議をしようにも、相続人の1人が遠方に住んでいることや、それまでの関係性が希薄で、連絡先すら分からないときには、分割協議が完了するまで長期間を要します。親族とはいえ、相続発生を契機として、それまでの信頼関係が崩れ、対立が生じることもしばしばあり、家庭裁判所での調停や審判の手続に発展してしまうと、解決まで長い年月を要することも実際にあります。

2 遺言書がある場合

遺言書がある場合には、上で述べた問題の大半は解消できます。 

まず、相続財産の調査が原則として不要になります。自分がどこにどのような財産を持っているかは被相続人が一番よく分かっており、それらの財産を余すところなく遺言書に盛り込んでおけばいいからです。 

また、相続人間の遺産分割協議も原則として不要となります。被相続人が、自分の希望する分割方法を遺言書で定めておけば、相続が発生するとただちに、遺言書の内容のとおりに、それぞれの財産が各相続人や受遺者に帰属することになりからです。多大な時間と労力を費やして、出口の見えない相続紛争(いわゆる「争族」)が生じるのを未然に防止できる点は、計り知れないメリットといえます。 

以上のとおり、遺言書の作成は、相続調査が不要になること、相続人間の紛争を防止できること(争族対策)から、ぜひともお元気なうちに作成しておくべきといえるでしょう。

遺言が関係する解決事例の一部をご紹介致します。

遺言に関する解決事例

 すべての遺産を長男に相続させる旨の遺言があった事例

 遺言書と異なる内容で遺産分割協議をした事例

 

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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