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セミナー講演実績

2017.09.22
2017年9月22日に開催したソナエ博の講演内容

目次

0.自己紹介

1.遺言書はどうして必要なの?

  ①遺言書がない場合の相続手続の流れ
  ②遺言書がある場合の相続手続の流れ
  ③遺言書作成のメリット

2.遺言書作成を専門家に依頼すべき5つの理由

  ①法律上の要件に反する遺言書は無効
    ②遺言書作成には判例の理解が必須
    ③遺言執行には公平中立の第三者専門職が適任
    ④遺留分を侵害する遺言書は絶対避けるべき
    ⑤税務面の配慮も必要

3. ケース別遺言書作成の事例

CASE1 都心にある自宅が遺産の大半を占め、金融資産がわずかのケース

CASE2 不動産オーナーが相続税対策で建てた賃貸マンションに借入金があるケース

CASE3 遺産の大半が自社株式のケース

CASE4 相続人の跡継ぎを指定したいケース

 

1977年 大阪市生まれ
同じ名前の芸能人(沖田浩之)がいましたが、その方がデビューする前に生まれています。
生まれてから高校卒業までを大阪で,大学入学から20代半ばまでを東京で,法科大学院入学から現在までを再び大阪で過ごす(但し、ノリが悪いせいか、東京の知人からはよく「関西人ぽくないね」と言われます)。
 
 
2009年 弁護士登録
遺言相続の分野において、様々な相続紛争案件に携わりました。
数多くの遺産分割調停事件や訴訟事件に触れる中で、相続における生前対策の重要性を痛感。遺言書作成、家族信託、を初めとする生前の相続対策業務・事業承継対策業務、相続税対策などの税務業務にも積極的に取り組む。
家族構成は、妻と娘2人(5歳と3歳)。
趣味は、お酒を飲むこと。映画鑑賞。大河ドラマ鑑賞。
 

遺言書がない場合の相続の流れ

○本人の死亡
○遺産はいったん相続人間の共有状態(凍結状態)に
○相続調査(相続人の確定・相続財産の調査)
○相続人全員で遺産分割協議
○家庭裁判所での遺産分割調停・審判
○分割協議書・調停調書・審判を基に、不動産の名義変更、預金の引き出し等の相続手続

遺言書がある場合の相続手続の流れ

○本人の死亡
○遺言書により、遺産は直ちに各相続人に帰属]
○遺言執行(「相続させる」旨の遺言では、執行行為も不要)

 

遺言書作成のメリット その1

相続調査が不要に!

相続財産としてどこに何があるかは、本人が一番把握している。
(逆に、遺族の方々は財産の有無、所在が全く分からないこともしばしば)
生前、誰に、どういう経緯・理由で、どれだけの贈与をしたか(生前贈与の有無・金額等)についても、本人が一番よく把握している。
本人が親族の知らないところで親族名義の預金口座や保険契約(名義預金・名義保険)をしているケースも見受けられる。
 

遺言書作成のメリット その2

遺産分割協議が不要に!

親族間とはいえ、すんなり合意に至るとは限らない。相続発生を契機に、それまでの信頼関係が崩れることも・・・。
前妻の子供と後妻など、もともと人間関係の潜在的対立を抱えているケースや、遺産分割未了の間に2次相続・3次相続が発生し、相続人が多数に枝分かれしているケースなどは、特に合意が困難(住所が遠隔地。連絡先も分からない。会ったことがない等)
分割協議がもめると、家裁の調停・審判手続や訴訟手続に。多大な時間と労力をかけ、解決まで数年かかることが通常。
遺言書があれば、こういった遺産分割協議が不要になる。そのメリットは計り知れない。
 

遺言書作成のメリット その3

相続税の特例適用による節税が可能に!

小規模宅地等の減額の特例とは、生前に本人の居住の用に供されていた宅地は、相続人の生活維持のため、一定の要件の下、土地の相続税評価が一定の面積(330㎡)を限度に、最大8割減となる制度((租税特別措置法69条の4)。
配偶者の税額軽減制度とは、本人の配偶者は、遺産形成に寄与していることが多いこと、配偶者の生活保障を図る必要があることから、法定相続分か1億6000万円のいずれか高額のほうまで相続税が課税されない制度(相続税法19条の2第1項)。
 
これらの制度の活用による相続税の節税効果は絶大。但し、相続税申告に際し、遺産分割が完了していることが要件となるため、申告期限までに相続人間で協議がまとまらなかった場合、これらの制度の適用前の相続税をいったん納めないといけない(因みに、相続税申告期限は相続開始から10ヶ月以内)。
これらの制度を活用できる形で遺言書を作成しておくことにより、相続税の節税効果を最大限活かすことができる。

遺言書作成を専門家に依頼すべき5つの理由

理由1 法律上の要件に違反する遺言書は無効

以下の遺言書は有効?無効?

●遺言書の本文はすべて自筆で書いたが、最後の頁に添付した不動産目録だけは司法書士にワープロで作成してもらった。
●自筆証書遺言の作成日を「昭和四拾壱年七月吉日」と記載した。
「私の80歳の誕生日」と記載した場合はどうか。
●あらかじめ作成した遺言書の原稿を公証役場に持って行ったが、公証人の問いかけに対して声を出してうなずくのみであった。

理由2 正確な遺言書の作成には判例の理解が必須

●「相続させる」と「遺贈する」と「取得させる」「承継させる」「譲渡する」「与える」
●「相続させる」旨の遺言は、遺贈ではなく、遺産分割方法の指定であり、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される」(最判平成3年4月19日判例時報1384巻24頁)。

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理由3 遺言執行には公平中立の第三者専門職が適任

●遺言書は、効力が生じたのち、執行行為が必要。
●遺言執行者に相続人の一人が就く場合、遺言書の内容に不満を持つ他の相続人との間の紛争の火種になることも。
●事案によっては、遺言執行に高度の専門的判断や相続人間の利害調整が必要になる場面もある。
●遺言書を作成した弁護士が遺言執行者に就けば、財産状況や相続人の人間関係も把握できており、円滑な執行が可能。

理由4 遺留分を侵害する遺言書は絶対避けるべき

●遺留分とは、相続に関し、一定の相続人に、法律上必ず確保される相続財産の一定割合
●ある相続人の遺留分を侵害する遺言書を作成し、相続が発生した場合、当該相続人は他の相続人や受遺者に対して、相続開始を知ってから1年以内に、遺留分減殺請求ができる。
●遺留分減殺請求された場合、訴訟にまで発展するケースが大半。
●作成しようとしている遺言書の内容が、遺留分を侵害しているか、侵害額はいくらか、遺留分を侵害しないためにはどうすればいいかは、相当高度な専門的判断が要求される。

理由5 税務面の配慮も不可欠

●相続発生時にかかる相続税負担を軽減することは、相続人全員にとって大きなメリットをもたらす。
●劇的な節税効果をもたらす小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減はできるだけ活用したいが、税務上、一定の要件を充たす必要。

次のような遺言書は税務上、問題ない?

ア 遺言者は、妻に先立たれて、所有する自宅にて一人暮らしである。相続人は、持ち家に住む長男Aと賃貸マンションに住む長女Bの2人である。遺言者は、預貯金はすべてAに、自宅のある土地建物はBに相続させる遺言書の作成を検討している。
 
イ 遺言者の相続人は、妻と長男の二人である。遺産としては、自宅土地建物(時価2億円)と預貯金6000万円であり、長男が妻の面倒をみることを条件に、すべて長男に相続させる旨の遺言書を作成しようと考えている。
 

ケース別遺言書作成の事例

CASE1

都心にある自宅が遺産の大半を占め、金融資産がわずかのケース

 
私は数年前に夫を亡くし、現在は遺族年金で暮らしています。
夫は大阪市内に先祖代々住んできた自宅(敷地約70坪、資産価値約8000万円)を持っていて、そこに長年夫婦で住んできましたが、夫が亡くなり、私が自宅を相続しました。
私は最近病気がちなため、独身の長女が、私一人では今後の生活に困るだろうということで、長年勤めた会社を退職し、自宅に一緒に住んで、パートをしながら私の面倒を見てくれています。
 
私には長女以外に二人の息子がいますが、長男は東京で、二男は名古屋で正社員として働いていて、それぞれ世帯を持ち、経済的にも何不自由ない状態です。
自宅以外の遺産といえば、預貯金が手元に1000万円ほどあるだけです。
将来、私の相続の時には長女に自宅とその敷地を確実に相続させてあげたいと思っていますが、どのような遺言書を書いておけばいいでしょうか。

CASE2

不動産オーナーが相続税対策で建てた賃貸マンションに借入金があるケース

私は、大阪市内に1000㎡の広さの土地を持っています。土地上には貸家が立っていたり、駐車場として活用したりしています。
最近、貸家の老朽化がひどく、空室も目立ってきました。顧問税理に試算してもらったところ、もし現状のままで相続が発生すると、1000万円近くの多額の相続税が発生することが分かりました。
そこで、相続税対策のため、信頼できるハウスメーカーからの提案で、銀行から1億円ほど借入れをして、土地上の貸家を解体して、賃貸マンションに建て替える計画をしています。賃貸マンションを建築すれば、土地の評価が大幅に下がるので、相続税は500万円以下に抑えられる見込みです。

賃貸マンションはハウスメーカーが30年一括借り上げしてもらい、賃料収入は将来的にも安定して入ってくる見込みですが、銀行からの借入れの返済期間も30年と長期です。
そのため、将来、私の相続が発生した際にも、借入金がまだ残っている可能性が高いです。
私の妻は早くに亡くなり、相続人は長男と長女の2人です。賃貸マンションと借入金は長男に継がせ、長女には私が亡くなった際の預貯金その他金融資産をすべて相続させようと考えていますが、長女は私の借入金の1/2は自分も負担しないといけないのではないかと心配しています。

CASE3 遺産の大半が自社株式(自社株)のケース

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私は自動車部品を製造する会社を創業し、経営にあたってきました。
お陰様で会社は順調に業績を伸ばし、これまで銀行からの借入に頼ることなく経営できています。会社の毎期の利益は内部留保に努め、私自身の役員報酬も高額をもらうことなく働いてきたため、個人では資産がほとんどなく、私の財産の大半が自社株式です。
 
私も70歳を過ぎ、相続のことが気になってきたので、会社の顧問税理士に相談したところ、私が持っている自社株式の評価が非常に高く、もしこのまま相続が発生すれば、相続税が1億円程かかると言われました。そんな相続税は到底払うだけのお金を私個人では持っていません。
後継者になる予定の長男も大変驚き、どうすればいいのか、途方に暮れています。相続税を何とか支払って、長男に会社を継がせるにはどうすればいいでしょうか。なお、私の相続人は、妻と長男、二男の3人です。

CASE4 相続人の跡継ぎを指定したいケース

私は、大阪市平野区で町工場を営んでいた父が数年前に亡くなり、長男として、父の跡を継いで、妻と二人で力を合せて、工場を営んできました。
母は早くに亡くなりましたが、弟と妹がおり、二人ともすでに結婚して、それぞれ所帯を持っています。ただし、弟と妹には子どもが1人ずついますが、私と妻との間には子どもはいません。
私の財産としては、父から受け継いだ、工場用の敷地と建物の他、倉庫や機械などがあります。また、これまで貯めてきた預貯金が数千万円あります。私の相続人としては、妻と弟、妹の3人がいますが、これまで妻と二人で力を合せて工場を営んできましたので、私の財産は全部妻に継いでもらいたいと思っています。
ところが、先日、とある法律事務所が主宰する相続相談会に出席して状況を相談したところ、妻が亡くなった後には、私の親族には相続権がなく、妻の兄弟に私の遺産が承継されると聞き、非常に抵抗を感じました。
預貯金はともかく、工場用の敷地や建物などは、私が父から受け継いだ財産ですから、妻に相続させた後は、妻の兄弟ではなく、私の弟や妹、弟や妹がすでに亡くなっている時は、弟や妹の子どもら(私から見た甥と姪)に継がせたいと思っています。
このように、自分の相続人の次の世代の跡継ぎを指定するような遺言は可能なのでしょうか?
上記のケース1~4は当日解説させていただきました。
内容を知りたいかたはぜひお問い合わせください。

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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