解決事例
- 2021.03.01
- 海外在住の相続人が一時帰国中の1ヶ月間で相続人間の話し合いをまとめ、遺産分割協議を早期に完了させることにより、相続税の大幅な節税に成功した事例
事案
相談者は神戸市に在住する50歳代のサラリーマンの方でした。父が先日、病気で亡くなったが、今後どのような相続手続が必要なのか、まったく分からないとのことでした。
お父様の相続人は、相談者以外に、神戸市内にあるお父様の家で一緒に住んでいたお母様がいるほか、アメリカで大学教授をしている弟さんがいるとのことでした。その弟さんは、基本的にはずっとアメリカで暮らしているが、お父様の法事や仕事の関係もあり、今現在、ちょうど1ヶ月間だけ、日本に一時帰国している状態でした。
相続調査の結果、お父様の遺産としては、お母様と二人で暮らしてきた神戸市内のご自宅(約1億円)と奈良市内の土地(約2200万円)があるほかは、預貯金や有価証券が2800万円ほどあることが判明しました。なお、奈良市内の土地の上には、相談者がご自分名義の建物を建て、家族で住んでいる状態でした。
解決方針
弟さんがアメリカに帰ってしまうと、遺産分割協議をまとめるのに、多大な時間と労力がかかることは誰の目からも明らかでした。そのため、弟さんが日本にいるこの1ヶ月の間に、遺産分割協議を何とかまとめる必要がありました。
また、遺産分割協議が未了のまま相続税申告期限を迎えると、配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例といった、相続税の大幅な節税が可能となる特例措置が使えないことから、いったんは多額の相続税(当事務所の試算では総額で約1400万円)を納税する必要がありました。
幸いなことに、本事案では、遺産分割の方法として、神戸市内のご自宅はお母様が、奈良市内の土地は相談者が、残りの預貯金・有価証券は弟さんが取得する以外に選択肢はほとんどありませんでした。相談者と弟さんの取得する金額に若干開きがあり(相談者;2200万円、弟さん;2800万円)、その点をどのように調整するかだけが課題でした。
そこで、当事務所としては、相談者だけでなく、お母様、弟さんにも事務所にお越しいただき、3人の前において、
①弟さんが日本にいる間に、相続人全員からご依頼いただく形で遺産分割協議書を作成したい
②もし遺産分割協議が揉めてしまうと、弁護士として代理人を辞任せざるを得ず、解決までに多大な時間と労力がかかってしまう
③相続税もいったんは多額の税額を納税しなくてはいけないこと
を説明しました。
懸案であった、相談者と弟さんとの取得金額の差額については、奈良市内の土地の評価額2200万円というのは相続税評価額であり、実際に売却する価額となると、弟さんが取得予定の2800万円とほとんど差がないことを説明することで、相談者に納得してもらい、相談者と弟さんとの間で代償金の支払いはしないという形で決着を着けることができました。
これにより、弟さんが日本に一時帰国中のわずか1ヶ月の間に、当事務所が作成した遺産分割協議書に相談者、お母様、弟さんの3人全員が署名押印してもらうことに成功しました。
また、遺産分割協議が完了したことにより、相続税申告において、お母様が取得する大阪市内の自宅土地への小規模宅地の特例の適用や、配偶者の税額軽減措置を適用することが可能となり、相続税総額を当初予定額の約1400万円から約210万円(お母様;0円、相談者;約100万円、弟さん;約110万円)にまで大幅に節税することにも成功しました。
事務所コメント
本事案のように相続紛争が顕在化していない段階でのご相談の場合、各相続人の置かれている状況や相続人間の人間関係、遺産の内容等に照らして、いかに相続人間の利害を調整し、各人を説得し、早期の協議書作成にまで漕ぎつけることができるかがポイントとなります。早期の円満解決がもたらす多大なメリットと、相続紛争にまで発展した場合のデメリットを熟知した弁護士ならではの、相続専門弁護士の腕の見せ所ともいえる事案でした。
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)