解決事例
- 2021.03.16
- 兄弟間ごとに異なる代償金の金額で遺産分割協議をまとめた事例
事案
亡くなられたお父様(被相続人)には,長男,二男,長女の3人の相続人がおられました。被相続人の遺産には,土地及び建物(以下「本件不動産」といいます。)と預貯金がありました。長男は,被相続人の生前からその家業を継いでおり,同人の土地及び建物に居住しながら家業に勤しんでおられました。
被相続人が亡くなられた後,兄弟である長男,二男及び長女の3人で,遺産をどのように分けるか協議がなされたのですが,預貯金を等分することと,長男が本件不動産を相続することについては,相続人間で争いがありませんでしたが,本件不動産をどのように評価するかという点について,長男と長女は,固定資産評価額をもって行うという意見で一致しましたが,それに対し,二男が実勢価格をもって行うべきと強く主張してきたため,なかなか遺産分割協議がまとまらない状態でした。
そのような状態の中,長男から遺産分割協議をまとめて欲しいとご依頼戴いたのが本件になります。
解決方針
長男が本件不動産を取得する場合,他の相続人である二男及び長女に対して,代償金を支払う必要があります。代償金を算定するにあたり,本件不動産をいくらと評価するかが重要となります。しかし,本件不動産の評価額について相続人間で合意ができないため,遺産分割協議が平行線のままといった事例でした。
相続人間で作成する遺産分割協議書には,全ての相続人による署名押印が必要となります。
本件の場合,遺産分割協議の枠組みとして
①長男が本件不動産を取得し,その代償として他の相続人に代償金を支払うこと
②預貯金は相続人間で等分すること
といった大枠については合意ができておりました。一方で代償金の額だけが相続人間で争いがあるといった状態でした。
そこで,相続人間で作成する遺産分割協議書には,上記大枠について記載するとともに,代償金の金額については,長男と二男,長男と長女と,それぞれ個別に合意書で定めるという方針で交渉を続けることとしました。
その結果,二男との間では,本件不動産を,固定資産評価額をもって算定して,二男の相続分に相応する代償金を長男が支払うという形で合意することができました。また,長女との間では,本件不動産の実勢価格を,路線価を基準にいくらで算定するかについて交渉を行い,最終的に依頼者も長女もともに納得できる金額で合意することができました。
そこで,相続人間で大枠に関する遺産分割協議書を作成するとともに,上記各合意を内容とする合意書をそれぞれ作成することで,遺産分割協議をまとめることに成功しました。
事務所コメント
遺産となる不動産の評価額に争いがある場合,協議が平行線となってしまいかねません。
また,相続人間のなかで,1人だけ評価額を異にすることで不公平感を生じることにもなりかねません。そのような場合,全相続人が一致した見解をもとに遺産分割協議書を作成するといった一面的な対応でなく,個別に相続人間で金額の合意を行うといった柔軟な対応をとることが必要となります。本件では,そのような柔軟な対応をとって個別に交渉した結果,全ての相続人が納得できる解決に至ったといえます。
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)