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解決事例

2021.10.28
遺言書の作成と併せて遺留分放棄の手続も行った事例

相談内容

 相談者は40代の女性です。相談者には夫との間に1人の子がおります。夫には離婚歴があり,前妻との間に2人の子がいるとのことでした。相談者としては,自分が亡くなったとき,自分の遺産の全てを夫との間の子に相続させたいとのことで,遺言書の作成をご依頼されました。

 また,もし,相談者が遺言書を作成しないまま夫より先に亡くなった場合,夫が自らの財産を相続すると,そのあとに夫が死亡した場合には最終的に夫の前妻との間の子らが相続することとなります。このような事態を回避するための手立てはないかとのご相談も受けました。

当事務所の対応方針

 自分の財産を子に確実に相続させるためには,遺言書を作成することが必須です。ただし,遺言書を作成して子に全ての遺産を相続させるとした場合でも,夫も自らの相続人に当たる以上,夫の遺留分が侵害されることになります。夫としても,妻である相談者の財産は,妻との間の子が相続することに異論はないため,相談者の財産を相続する意向はないとのことでした。

 相続しない意向を示す方法として,相続放棄という手続があります。しかし,相続放棄は被相続人が亡くなった後にしか行えません。そのため,相談者がご存命のまま夫が相続放棄の手続をとることはできませんでした。

 この場合,万全を期すために,夫が遺留分を放棄するという手段が考えられます。遺留分の放棄は,被相続人の生前でも行うことができるからです。ただし,その場合であっても家庭裁判所の許可が必要となります。

 そこで,夫が申立人となり,家庭裁判所に対して,遺留分放棄許可審判申立を行いました。申立てに先立ち,相談者のご意向を踏まえた公正証書遺言を作成し,その作成の経緯を申立書に記載して申立てを行ったところ,無事に遺留分放棄の許可を得られました。

 

事務所コメント

 遺言書を作成する場合,ご本人の意向を正しく内容に記載することも重要ですが,一方で,相続人となる者の遺留分を侵害しないかどうかも注意する必要があります。本件の場合,まさに,相談者が子に全てを相続させた場合,夫の遺留分を侵害することになるケースでした。

 現時点で,夫がそのことを了承して遺留分侵害の請求をしないことを約束していたとしても,ご本人が亡くなった後に夫が遺留分侵害請求することは可能です。そのため,遺言書の作成と併せて遺留分侵害を受けることになる者が事前に遺留分放棄許可審判申立の手続をとっておくことは,万全を期すためにも非常に重要であると言えます。

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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