解決事例
- 2025.11.27
- 連絡の取れない相続人に対して弁護士名義で協議を申し入れた結果、遺産分割協議を成立させることに成功した事例
事案
相談者の母親の弟(相談者にとっては叔父)が亡くなったという事例です。その叔父には配偶者も子もおりませんでしたので、兄弟姉妹が相続人となります。
その叔父が亡くなったのは2年前でしたが、叔父には成年後見人がついていたようで、叔父が亡くなった後、相談者の母親がその成年後見人から、叔父名義の財産目録の送付を受けていたようでした。同目録によれば、叔父の遺産は、叔父名義の預貯金口座1つと若干の現金のみだったようです。その預貯金口座の残高は2000万円近くありましたが、今に至るまで解約や払い戻しができず、そのままとなっていたようです。
叔父は、相談者の母親含めて3人姉弟の弟でしたが(姉である母親、妹である叔母、弟である叔父の3人)、妹である叔母は7年前に既に亡くなっていました。その叔母には娘が1人いたようでしたので、亡くなった叔父の相続人は、相談者の母親に加え、先に亡くなった叔母の娘も代襲相続人となります。そこで、相談者の母親がその娘宛に連絡を試みて、何度も手紙を送ったりしたそうですが、一向に返信を受けられないままでした。
なかなかその娘と連絡がとれなかったので途方に暮れていたそうですが、そうしたさ中、残念ながら相談者の母親が亡くなってしまいました。そこで、その相続人である相談者が、いよいよ解決しなければと考えてご相談に来られたのが本件です。
解決方針
叔父の相続人は、代襲相続人である相談者と叔母の娘の2名です。亡くなった叔父には成年後見人がついていて、その成年後見人作成による財産目録がありましたので、遺産の調査自体はそれ以上行う必要がありませんでした。そこで、戸籍を集め、相続人を確定するとともに、叔母の娘の戸籍の附票を取り寄せて住民票上の住所をつきとめました。そして、叔父が亡くなったことと、相談者の母親も亡くなったこと等、これまでの経緯を記載するとともに、遺産分割協議で清算したいこと、そのために弁護士をつけたこと、遺産分割協議に協力してほしいことを丁寧に記載した文書を送付しました。
これまで相談者の母親が連絡を試みても一向につながらなかった経緯を考えれば、弁護士名義での文書を送付しても返信がない事態も当然想定しておりました。ただ、想定に反し、文書を送付してから1か月ほど経過したころにその叔母の娘から電話連絡をいただけました。どうやらその娘と亡くなった叔母とは、生前に良い関係でなかったようで、叔母の娘という立場で亡くなった叔父の代襲相続人として遺産に関するやり取りを行うことに抵抗感を持っておられたため、なかなか連絡ができなかったようでした。ところが、遺産分割協議に協力してほしいとの弁護士名義での文書の送付を受けて、手続きを行っていく決心がついたとのことでした。
そこで、遺産分割協議書を作成し、叔父名義の遺産から、亡くなった相談者の母親が立て替えた費用(叔父の未払いの施設費用等)に加え、今回の遺産分割協議をご依頼いただいた際に要する弁護士費用も控除した上で、法定相続分である2分の1ずつを分配するという内容の合意を成立させることに成功しました。
事務所コメント
被相続人が亡くなられて相続が開始したとき、相続人と連絡が取れない場合、その後の遺産分割手続きがストップしてしまいます。その相続人との関係が遠ければ遠いほど連絡の繋がりやすさは難しくなる傾向にあります。本件でも、一般に親子や兄弟といった事例ではなく、兄弟姉妹の子であり代襲相続人といった遠い関係性であったことも連絡の繋がりにくさを招いた原因と思われます。
弁護士にご依頼いただけましたら、戸籍の附票を取り寄せて住民票上の住所を調べることができることに加え、弁護士名義で文書を送付することにより、それだけこちらが遺産分割協議による解決をしたいと強く希望しているその姿勢を示すこともできます。
そのため、そのような場合は是非とも弁護士にご相談ください。
なお、遺産分割協議において、弁護士費用はご依頼いただいた方の負担となるのが原則であり、当然に遺産から控除できるものではございません。本件で、弁護士費用も控除して分配することに成功したのは、こちらから遺産を分けるにあたって弁護士費用も控除してほしいと打診した結果、他の相続人から了承を得られたためです。
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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)





























