Q&A
- 2020.08.14
- 遺産の共有とは?
不動産をお持ちの方が亡くなると、相続人間での「遺産共有」の状態となります。
この状態が長く続くと相続人が増え続け、色々な問題が発生します。
相続人が元気なうちに遺産分割協議をして共有状態を解消することが大事です。
遺産の共有のQ&A
Q.母が亡くなったあと、父も死亡しました。相続人は長男の私と二男、長女。父が残したA、B、Cの不動産を3人で分けようと話をしていましたが、協議をせず放置の状態です。その後、二男が亡くなり、次男の子供3人が新たに相続人となり、5人が不動産を共有しています。どうすれば良いでしょうか。
弁護士からの回答
質問では、奥さんは死亡しており、お父様の相続人は3人のきょうだいです。
不動産を3人で3分の1ずつ共有します。
この状態は暫定的ですが、協議が終了しない限りいつまでも続くことになります。
この状態での怖い問題は、亡くなられた方の遺産分割が完了しない間に相続人が亡くなることにより、共有する相続人が際限なく増えていくことです。
質問では、お父様の協議が完了しないまま二男が亡くなられたため、二男の子供3人が二男の共有持分をさらに共有します。その結果不動産A、B、Cは長男と長女が3分の1ずつ、二男の子供3人はが9分の1ずつを共有している状態になります。
放置を続け、時間を経るごとに相続人はどんどん増え、複数の不動産であればより複雑な問題が起こってきます。
長男が不動産を相続し、管理したいと考えた場合、まず登記名義を移す必要があります。
5人が協議で合意に至れば、登記名義変更に必要な全員の署名、実印での捺印、印鑑証明書はそろいます。相続人が少なければ常日頃の付き合いもあり、長男個人でも解決することが可能な場合もあります。
しかし、相続人が10数人以上に枝分かれすると、不動産の売却・処分などが困難になることがあります。
相続人の中には、遠方の人や所在不明者がいて、一般の人では調査が非常に困難です。
孫まで死亡していると、共有関係が一層複雑になり、合意がさらに難しくなります。
全員の合意がないと不動産の売却・処分はできません。
いざ相続人全員に連絡がつき、不動産の分割協議をするとなった際に、不動産はを相続人が平等の割合で共有する分割の仕方を採ってしまいがちですが、そのような分割方法は極力避けるべきです。
遺産共有と同じく、共有者の死亡に伴い、共有関係が枝分かれしていく恐れがあるからです。
そうした共有問題を解消する一つの方法として、長男が相続して、不動産評価額の3分の1を長女に、二男の子供3人には9分の1ずつに分ける「代償分割」があります。
もう一つは不動産を売却し、その代金を不動産持ち分に応じて分ける「換価分割」があります。
いずれにしろ、相続人の長男、長女、二男が元気なうちに協議を早急に開き、合意することです。
その際、後々のトラブルを想定して法律の専門家・弁護士に介在してもらうことをお勧めします。
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)