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FAQs

2021.06.30
遺産分割協議において、自宅不動産をどのように評価すればいいでしょうか。

Q.父Aが亡くなり、相続人は相談者X(長男)と弟(Y)の2人です。Aの遺産として、自宅の土地建物(固定資産税評価額5000万円)と預貯金5000万円とがあります。Xは自宅でAと同居していたことから、自宅を自分が取得し、Yは預貯金を取得したらいいと考えています。他方、Yによれば、自宅の評価額として5000万円は安すぎるので、Xが自宅を取得するのであれば、自分に対して相応の代償金は支払ってほしいと考えています。
 XとYは、自宅不動産をいくらと評価すればいいのでしょうか。


A.相手の提示した不動産価格で合意できない場合、不動産の公的評価基準や公的評価基準以外の評価額を目安に、別の価格による合意形成を図ることになりますが、それでも合意できなければ、最終的には裁判所の指定した不動産鑑定士による公的鑑定により評価額を決めることになります。
 設問では、固定資産税評価額5000万円をもって自宅の評価額とのXの提案に対してYが合意できないことから、別の価格による合意形成を図ることになります。

弁護士の解説

1 不動産評価の公的評価基準

遺産分割協議において、不動産の評価方法について、相続人間で合意形成が図られることになりますが、その際、以下の公的評価基準を参考にします。

  • (1)公示価格
  • 国土交通省の土地鑑定評価委員会が特定の標準地について毎年1月1日を基準日として公示する価格です。2人の不動産鑑定士が鑑定評価を行い、その結果を土地鑑定委員会が審査・調整して、最終的な価格として公示します。

    公示価格は、あくまで「特定の標準地」の評価額ですので、問題となっている遺産の個別的な要因を評価額に反映させるためには公示価格はふさわしくないことになります。

  • (2)固定資産税評価額
  • 地方税法による土地家屋課税台帳等に登録された基準年度の価格又は比準価格のことをいいます。

  • 固定資産税評価額は、固定資産評価基準により不動産ごとに決められており、土地の固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に設定されています。3年に1回、評価替えが行われています。

  • (3)相続税評価額(路線価)
  • 財産評価基本通達により、相続税、贈与税等の算出の基準として、毎年1月1日時点の価格が対象土地の地目ごとに路線価方式、倍率方式のいずれかにより算定され、国税庁から公表される価格です。

    財産評価基本通達は、相続税・贈与税などを賦課するための財産評価の方法に関する全国共通の画一的な基準であり、課税上の公平を保つという点で優れています。

  • 2 公的評価基準以外の評価額

  • (1)不動産業者による査定額
  • 一般に、不動産業者は無料で査定価格を提示してくれます。実際に遺産分割協議や調停においても、不動産の評価額として、不動産業者の査定額が提示されることがよくあります。

    しかし、不動産業者による査定額は、金額の算出方法に一定の客観的基準があるわけではありません。依頼者の意向によって金額が変動することもありうるので、金額の公平性、客観性には疑問が残ります。

  • (2) 専門委員の意見
  • 遺産分割調停においては、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取する手続が用意されています(家事事件手続法264条)。この手続によって、不動産鑑定士の資格を有する家事調停委員から不動産の評価額について意見を陳述してもらうことができます。

    もっとも、専門委員に現地を見分するなどの行為は予定されておらず、鑑定と比較すると、評価額算定の精緻性に問題があります。

  • (3) 私的鑑定
  • 当事者が不動産鑑定士に直接依頼し、不動産の評価額を鑑定してもらうことがあり、これを私的鑑定といいます。

    不動産鑑定士が行う鑑定は、私的鑑定であれ、裁判所の指定による鑑定であれ、不動産鑑定評価基準に依拠して行われるため、公平性、客観性がもっとも高い指標といえます。但し、不動産鑑定士の評価であっても、不動産鑑定評価基準に依拠しない「意見書」「査定書」「評価書」の類は、「鑑定書」と比較すると信用性が落ちることになります。

  • 3 合意形成と裁判所の指定による鑑定

  • (1)合意
  • 以上のような公的評価基準やその他の評価基準を基にして、不動産の評価額について合意形成できないか、当事者間で協議することになります。当事者間で合意ができればどのような金額であってもいいので、上記の評価額以外の評価額を、不動産の評価額とすることもあります。

  • (2)裁判所の指定による鑑定
  • 裁判所が指定した不動産鑑定士による鑑定が行われる場合、不動産の評価時点をどうするか、また、鑑定の前提条件をどうするかについて、当事者及び裁判所との間で確認されることになります。

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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