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遺産分割訴訟について

遺産分割協議は、相続人と相続財産が確定していることが前提となりますが、相続人間において、遺産分割協議の前提問題である相続人の範囲相続財産の範囲を巡って争いが生じることがあります。

それぞれ、具体例を挙げて、ご説明させていただきます。

相続人の範囲を巡る争い

相続人の範囲を巡る争いの例として、たとえば、被相続人には愛人との間に子どもがいるとされていたところ、他の相続人らから、その子どもは被相続人の子ではないとの主張がなされたという事案があたります。

相続財産の範囲を巡る争い

また、相続財産の範囲を巡る争いの例として、被相続人の長男名義の預金口座があったところ、他の相続人らから、名義を長男としているだけで、実際は被相続人が原資を出損し、通帳と印鑑も被相続人が管理していたため、上記預金口座も被相続人の遺産に含めるべきだとの主張がなされた場合があたります。

前提問題に決着をつける訴訟

このように、そもそも遺産分割協議を行うにあたっての前提たる事実関係を巡り主張が対立している場合、まず前提問題に決着を付けないことには、協議を続けても平行線を辿ることは必至といえます。

その場合、遺産分割協議や調停手続に並行する形で、遺産分割を巡る訴訟を提起する必要が生じます。

具体的な訴訟の例

相続人の範囲について争いとなった場合、親子関係存否確認の訴え認知の訴え婚姻無効確認の訴え離婚無効確認の訴え等の人事訴訟を提起する必要があります。

相続財産の範囲を巡り争いとなった場合、ある財産が相続人固有の財産ではなく被相続人の遺産であることを確認する所有権確認の訴えや、被相続人の預金口座からの引出しがある相続人への生前贈与ではなく、当該相続人による無断の使い込みであった場合不当利得返還請求の訴え等が考えられます。

これらの訴訟を提起するか否かの判断は、相続の全体像の中で、判決の見通しなどを想定して慎重に行うべきです。訴訟を提起するか否か、訴訟になった場合に勝訴判決は得られるか否かについては、専門的見地からの高度の判断を要しますので、事前に弁護士にご相談ください。

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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