Q&A
- 2020.09.14
- 遺産分割協議が長引き相続税申告が間に合わない時どうすれば良いの?
相続税申告が間に合わないとペナルティとして追加の税金を支払わなくては行けなくなる可能性があります。
しかし遺産分割協議で揉めることは多く、思い通りに全て分割協議が前に進むとは限りません。
また揉めたときの対応が分からない税理士、お金のことが分からない弁護士に相談しても失敗してしまう可能性があります。
当事務所では相続税の申告期限が迫っているのに、相続人間で遺産分割協議がもめていて、一向にまとまらないといったケースでお悩みの方は、弁護士・税理士のダブル資格を持つ専門家にご相談するのをお勧めしています。
ありがちな失敗例①~税理士に依頼する場合~
上記のようなケースを税理士に依頼されると、税理士が相続人の間のもめ事に関与することは弁護士法との関係で問題が生じうることから、税理士は遺産分割協議にはでできるだけ関与せず、協議がまとまらないことを前提に、未分割での申告をするという安易な解決方向を採りがちです。将来的に相続人間での遺産分割協議がまとまったら、その段階で修正申告なり更正の請求をしましょうというスタンスで、遺産分割協議には積極的に関知してくれません。
しかし,遺産全体について未分割状態での相続税申告となると、小規模宅地の特例や配偶者の税額控除の特例を活用することができず、一旦は多額の相続税負担が相続人に生じます。
えまだ亡くなられた方の遺産を全く相続していない段階ですので、相続税負担は想像以上に大きく感じられます。
ありがちな失敗例②~弁護士に依頼する場合~
上記のようなケースを弁護士に依頼されると、弁護士は相続人の代理人ですので、依頼者である相続人の希望する遺産分割協議がまとまるように、相続人間の紛争に積極的に関わってくれます。但し、依頼者の利益を強く主張してしまうあまり、他の相続人も弁護士を立てるなどして紛争が先鋭化し、裁判にまで発展してしまうこともままあります。これでは、相続税の申告期限までに遺産分割協議をまとめることは不可能となります。
税務に精通していない弁護士であれば、相続税の申告期限内に遺産分割協議をまとめることの税務上のメリットを理解していませんし、そもそも相続税の申告期限を意識して遺産分割協議に臨むこともありません。
当事務所に依頼すると・・・
上記のケースを当事務所にご依頼された場合、弁護士の立場において、依頼者である相続人の代理人として、遺産分割協議にもしっかりと関与しながら、税理士の立場において、依頼者が税務上不利益を被らないように、また、税制の特例活用など税務メリットを最大限活かせるように、案件の対応してまいります。
具体的には、以下のような処理をいたします。
●まずは期限内の相続税申告を優先します
上記のようなケースにおいてまず優先すべきは、相続税の申告期限までに申告・納付をすることです。申告期限を過ぎてしまった場合、多額の延滞税・無申告加算税が課されることになってしまい、相続人全員が不利益を被ります。
ここは、弁護士の立場で依頼者である相続人の主張をあまり全面に出すことは控え,できるだけ相続人間の協力関係を築き、亡くなられた方の遺産や相続人に関する情報共有に努めます。
そのうえで税理士の立場で、税務上のルールに従った適正な申告書を作成し、期限内申告を実現します。
●一部分割を活用します
期限内申告といっても、すべての遺産について未分割の状態で申告することはできるだけ避けるべきであり、話し合いがまとまる余地のある遺産については、申告期限内にまとまるよう、積極的に遺産分割協議を進めていくべきです。
遺産分割というと、亡くなられた方の遺産全部をまとめて分割協議の対象としなければならないと誤解されがちですが、遺産の一部だけを対象に分割協議することも民法上認められています。
したがって、遺産のうち、預貯金など分割しやすい遺産について、先行して法定相続分に従って分割することは何ら問題がないばかりか、相続税の納税資金を確保できるという意味で、非常に有益です。
また、遺産に不動産が多数ある場合、先行して一部分割できる不動産がないか検討します。遺産の中にある多数の不動産の相続でもめていても、例えば、夫と一緒に暮らしてきた自宅を妻が相続することに、子供らとして異論がない場合、自宅について先行して遺産分割協議をまとめてしまえば、自宅について小規模宅地の特例という税務上最大のメリットを享受することが可能になります。
●最終的には、依頼者の代理人弁護士として、紛争解決へと導きます。
以上のように、遺産分割協議を経て、一部分割が可能なところはまとめることで、税務上のメリットを最大限享受するとともに、期限内申告をした後は、残りの揉めている部分に関して、弁護士としての立場で依頼者の希望に沿った法的主張を展開し、依頼者である相続人の利益を最大限実現しつつ、紛争解決へと導いてまいります。この段階は、紛争経験豊富な弁護士としての手腕が試される、弁護士の本来的業務であるといえます。
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)