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FAQs

2021.06.30
遺産分割協議が完了するまでの間、遺産である収益マンションからの賃料収入や管理費・固定資産税などの収益・費用は、誰に帰属するのでしょうか。

Q.父Aが亡くなりました。Aの相続人は、妻Yと長女Xの2人です。
 Aの遺産は、相続税対策に建築した賃貸マンションと預貯金があります。XとYとの間で遺産分割協議が難航し、Aが死亡してから3年後にようやく、賃貸マンションはYが、預貯金はXが取得するとの遺産分割協議がまとまりました。それまでの3年間に賃貸マンションから発生する賃料収入や管理費・固定資産税などは、Yが相続人代表口座を開設して入出金を行い管理していました。
 XはYに対して、Yが管理していた相続人代表口座の残金の2分の1を請求できるのでしょうか。


A.最高裁平成17年9月8日判決判時1913巻62号は、「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。」と判示しています。
 この最高裁判例によれば、上記Qで、XはYに残金の2分の1を請求することができることになります。

弁護士の解説

  •  民法909条は、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と規定しており、遺産分割の遡及効を定めています。

  •  この規定を前提に、遺産分割の遡及効を貫徹すると、相続開始から遺産分割成立までの間に遺産である賃貸マンションが収益を生んでいた本事案では、賃貸マンションの取得者であるYが賃料収入をすべて取得するという結論が導かれます。

  •  他方で、相続開始後から遺産分割成立までの間には、共同相続人が相続分に応じて遺産を共有しているという実態があるので、この間に生じた収益については可分債権であるため当然分割されるという結論が導かれます。

  •  以上の点について、上記引用の最高裁判例は、後者の考え方を採用することを明らかにしました。

  •  なお、遺産から生じる管理費用についても、相続開始後に発生した金銭債務であることから、果実や収益等の取扱いと同様、各共同相続人がその相続分に応じて当然に負担することになります。その法律構成としては、共有物に関する負担は、各共有者がその持分に応じて費用を支払うと規定する民法253条1項が根拠となります。

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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