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FAQs

2022.01.12
相続人の1人が被相続人の所有していた土地を無償使用していた場合、無償使用に係る利益は特別受益に該当しますか。また、特別受益の価額をどのように算定すればいいでしょうか。

Q 被相続人Aが亡くなりました。相続人は、長男Xと二男Yの2人になります。Yは、遺産であるA名義の甲土地上にY名義の建物を建築し、その土地を無償で使用してきました。Xは、Yが甲土地上にY名義の建物を建築し、甲土地を無償で使用してきたことが特別受益に該当するといえるでしょうか。
  仮に、特別受益に該当するとすれば、その価額はどのように算定されるでしょうか。

A 被相続人の遺産である土地の上に相続人の1人が居住用建物を建築し、その土地を無償で使用してきた場合、当該土地の使用について、被相続人と共同相続人との間には、明示若しくは黙示の使用貸借契約(民法593条)が成立していたものと解されます。
  そして、使用借権は第三者への対抗力はないものの、他人所有の建物が存在している土地は事実上売却が困難であることから、使用借権が設定されている土地は、使用借権相当額分、更地価格から減価されるものと解されます。使用借権の価額は、土地上の建物が非堅固な建物であった場合には更地価格の1割程度と評価され、土地上の建物が堅固な建物であった場合には、更地価格の1~3割程度と評価されます。
  そうすると、被相続人の土地を無償で使用することを許された相続人は、被相続人から生計の資本として使用借権という財産的権利の生前贈与を受けていたと解されることから、使用借権相当額の特別受益を受けたものと考えられます。
  したがって、Xは、YがAから使用借権の設定を受けていたことをYの特別受益として主張することが可能であり、その使用借権の価値が特別受益額として算定されることになります。

弁護士の解説

以上のとおり、被相続人の土地を無償で使用することを許された相続人は、使用借権相当額の特別受益を受けていたものと考えられます。但し、被相続人が相続人の1人に自己所有土地上に建物建築を認める多くの場合は、相続人と同居し、あるいは近所に住まわせ、老後の生活の面倒を看てもらうためであったり、家業を継いでもらうためであったりすることが多く、そのような場合には、他の事情と相まって、被相続人に持戻免除の黙示の意思表示(民法903条3項)が認められる場合があります。

なお、実務において、使用借権相当額に加えて土地の使用料(賃料)相当額が特別受益に該当すると主張されることがたびたびあります。しかしながら、被相続人の土地を相続人の1人が無償使用していた場合、使用期間中の使用による利益は使用借権から派生するものといえ、使用借権の価値の中にすべて包含されていると考えられることから、使用借権に加えてさらに賃料相当額まで特別受益に加算されることはありません。

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Tags: 特別受益, 遺産分割

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この記事の執筆者

入江・置田法律事務所

弁護士・税理士・家族信託専門士

置田浩之(おきた ひろゆき)

専門分野

相続、相続税、家族信託、企業法務

経歴

東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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