解決事例
- 2020.09.04
- 遺留分減殺請求訴訟を提起された事例
事案
依頼者の家は古くから鉄工所を営んでおり、依頼者はお父様が亡くなった後は長男である依頼者が鉄工所をはじめとする事業を引き継いでいました。 |
依頼者のお母様(被相続人)は今から10年ほど前に亡くなられましたが、生前、依頼者に不動産をはじめとする多くの遺産を相続させ、二男や三男にはわずかな預貯金を相続させるという内容の遺言書を作成されていました。
お母様の相続発生後、遺言の内容に不満を持った二男が、遺留分の侵害を理由に、依頼者を相手に遺産分割調停を提起しましたが、その時には解決金の金額が折り合わず、不調に終わりました。
そこから10年近く経ったある日、二男が再び、遺留分侵害を理由に、依頼者を相手に遺留分減殺請求訴訟を提起してきたのが本件です。
解決方針
訴訟では、依頼者が相続した土地が遺産の中でも大きな割合を占めていたことから、上記土地の評価額が主な争点となりました。相続発生からすでに10年近く経っており、その当時の評価額がいくらかが問題となったことや、土地に定期借地権が設定されていたことから、不動産鑑定士に専門的な知見に基づく鑑定評価書の作成を依頼し、証拠として提出しました。
また、相手方が提出してきた上記土地の査定書や鑑定評価書に対する的確な反論も、不動産鑑定士の助言をもらいながら、行っていきました。
当事者双方が鑑定士による鑑定評価書を提出し合う形になりましたが、鑑定士である調停委員から示された調停案は、二男側から提出された鑑定評価書の収益還元法に基づく評価方法が誤りであり評価額が過大であるとして、結果的に依頼者側の鑑定評価に近い金額での評価額が示されるに至りました。
本訴訟では、被相続人が生前に二男に対して、30数年前に住宅取得資金を贈与したか否かも大きな争点となりました。もし、被相続人から二男にそのような贈与が行われていたとすると、その金額は特別受益として持ち戻し計算されることになり、次男の遺留分減殺額が大きく減少することとなります。
相当に古い話であり、証拠自体散逸してしまっている不利な状況ではありましたが、被相続人の夫(依頼者の父)の遺産分割協議をめぐる被相続人と長男・二男・三男との会話のやりとりや、被相続人が公証役場において遺言書を作成するに至る経緯、被相続人の当時の経済状況、夫の事業に被相続人が果たした役割など、個々の事実を一つ一つ積み上げる形で主張立証を展開していくことで、特別受益の主張を一定程度、裁判所に認めさせるに至りました。
大阪の相続・遺言・相続税に強い 入江置田法律事務所の解決事例
※2020年5月28日更新
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)