解決事例
- 2020.09.04
- 未払賃料の支払請求権を相続により取得した事例
事案
依頼者は亡くなられたお母様(被相続人)の1人娘でした。 被相続人は生前に貸倉庫を所有し賃貸していたものの、その借主である企業の一つが、ある日から、 倉庫内に業務用の資材等を置いたまま行方不明となってしまい、賃料も長い年月支払われない状態が続いていました。 |
そうしている間に、お母様が亡くなられたことから、倉庫を相続された依頼者から、倉庫内の資材等を廃棄していいものかどうか相談を受けたのが本件です。
解決方針
長期間放置されたままとはいえ、賃借人が使用していた資材等を賃貸人が勝手に廃棄することは自力救済として違法となる恐れがあることから、まずは賃借人企業の商業登記簿謄本を取り寄せたり、賃貸借契約書に記載のあった連帯保証人の電話番号に連絡したりするなどして所在調査した結果、賃借人の代表者の住所を突き止めることに成功しました。
そのうえで、賃借人である法人と連帯保証人を相手に、倉庫の明渡しと未払賃料支払いを求める民事訴訟を提起した結果、倉庫の明渡しとお母様の生前から現在に至るまでの賃料滞納総額の約7割にあたる金額での和解が成立するに至りました。
なお、被相続人の遺産が相当な金額にのぼったため、依頼者には相続税の申告義務が発生することから、当事務所が相続税申告も代理することとなり、申告期限内に確定申告と相続税の納付を済ませました。
ところが、上記の民事訴訟で和解が成立する前に相続税の申告期限を迎えたことから、被相続人の相続発生時点までの滞納賃料の全額を「未収賃料」として相続税の課税価格に加えて申告書を提出せざるを得ませんでした。
後日、上記の民事訴訟において依頼者と賃借人との間に和解が成立したことから、依頼者が実際に受け取った上記和解金のうち、被相続人の相続発生時点までの期間に相当する金額が相続税の計算において計上すべき「未収賃料」であったとして、所管税務署に対して更正の請求の手続きを採り、相続税の還付に成功するに至りました。
大阪の相続・遺言・相続税に強い 入江置田法律事務所の解決事例
※2020年5月28日更新
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)