解決事例
- 2020.09.04
- 遺言書が無かったために、被相続人の甥・姪を含む相続人ら10名での遺産分割協議を余儀なくされた事例
ご相談に至った経緯
依頼者(X)は大阪に住む90歳の男性の方です。ご高齢であり、車いすに乗られるなど足が不自由でしたので、娘さんに付き添われて事務所に相談に来られました。 |
Xのご実家はもともと鳥取にあり、Xは7人兄弟の四男にあたるのですが、この度、五男にあたる弟(A)が88歳で亡くなられたとのことでした。
XはA夫婦と仲が良かったこともあり、Aは、自分の遺産のうち、1000万円をXに相続させ、不動産は菩提寺に寄贈し、残りの財産(預貯金、現金、株式など約3億円)はAの妻(B)に相続させる旨の遺言書を作成すると言っていました。
ところが、鳥取にあるAの実家から遺言書は見つからず、当事務所にて遺言検索システムを使って照会しましたが、Aの公正証書遺言は見つかりませんでした。
遺言書が見つからないとなると、XがAから聞いていた遺言の内容は絵に描いた餅となり、全く白紙の状態から、相続人全員で遺産分割の仕方を話し合って決めないといけません。
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当事務所でAの出生から死亡までの戸籍を取得して相続人を調査してみると、XとA以外の兄弟は、すでに全員亡くなっていましたが、そのうち2人の兄弟にそれぞれ子ども(Aの甥・姪ら)が4人ずつおり、Aの代襲相続人となることが判明しました。
したがって、Aの相続人は、妻のB、依頼者のX、代襲相続人である甥・姪ら8人(Y1~Y8)の合計10人となりました。
なお、Bは高齢で認知症のため施設に入所しており、すでに弁護士が成年後見人に就任していました。また、X以外の相続人は全員、鳥取に住んでいました。
解決方針
遺言書が見つからない以上、Aの遺志とは違う内容となりますが、Aの相続人全員で、法定相続分に基づき、遺産分割協議を進めていく必要がありました。
法定相続分は、Bが3/4、Xが1/12、Y1~Y8が各1/48となります。 |
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Aの住所はXからは遠方であったため、相続財産の調査を進めていくことは困難でしたが、Bの後見人の弁護士がAの自宅を家探しし、調査を進めていってくれました。
また、幸いなことに、Aの甥・姪らのうち一人が代表者として、当職やBの後見人との窓口となって交渉にあたってくれました。Aは現金・預貯金が潤沢にあったことから、最終的に、Aの遺産はすべてBが相続するとしたうえ、BからXやY1~Y8に対して、法定相続分に対応する代償金を支払うとの内容で、遺産分割協議がまとまるに至りました。
大阪の相続・遺言・相続税に強い 入江置田法律事務所の解決事例
※2020年5月28日更新
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この記事の執筆者
入江・置田法律事務所
弁護士・税理士・家族信託専門士
置田浩之(おきた ひろゆき)
専門分野
相続、相続税、家族信託、企業法務
経歴
東京大学大学院法学政治研究科卒業後、東京都内の大手銀行に勤務。その後、大阪大学法科大学院に入学。司法試験合格後、平成22年1月に弁護士登録、大阪府内の法律事務所勤務を開始。平成27年12月、大阪・阿倍野に弁護士の入江貴之とともに事務所を開設。また、平成24年に税理士登録、相続財産問題や相続税対策などにも幅広く対応している。 相続問題の相談実績は年100件を超える。豊富な法律相談経験により、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。